研究活動
日時 2022年1月8日(土)、9日(日)
参加申し込み https://forms.gle/Kq976XGKvJy8UF8m9
会場 オンライン(Zoom)/ 対面(★いずれも要申し込み)
■対面:京都大学 吉田南キャンパス総合人間学部棟地下、1B05講義室
地図:http://www.h.kyoto-u.ac.jp/access/
※総合人間学部棟は、吉田南キャンパス正門入ってすぐ左手の建物です。時計台側の北側通用扉からお入りください。
※資料準備の都合上、会場参加の場合もお申込みください。
■オンライン:申し込まれた方に、追ってZoomリンクをお送りします。
プログラム
■1月8日(土)13:00-18:30
●参加者自己紹介・近況報告 13:00-13:30
1. 発表 13:30‐15:15
久野量一(東京外国語大学、ラテンアメリカ文学))
「ラテンアメリカの中東文学――『砂の三角州』を読む」
中東に出自を持つラテンアメリカ作家たちにとって、祖国とは何なのか。中東以外の「中東文学」の一例として、ラテンアメリカで書かれた中東文学作品をいくつか取り上げて、その特徴を探る。
●休憩 15分
2. 中東映画鑑賞 15:30‐18:30
イスラエルのパレスチナ人でヘブライ語作家のサイィド・カシューア(1975-)のデビュー小説『踊るアラブ人』。これを『カップファイナル』『シリアの花嫁』のエラン・リクリス監督が映画化。イスラエル文学がご専門の細田和江さんの解説で鑑賞します。
踊るアラブ人 (2014、イスラエル、105分)
監督:エラン・リクリス
言語:ヘブライ語、アラビア語(英語字幕)
原作:サイイド・カシューア『踊るアラブ人』(2002)
解説:細田和江(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、イスラエル文学)
【あらすじ】イスラエル領内のパレスチナ人が多く暮らす町ティラ(カシューアの出身地)で生まれたイヤードは幼少期から神童として知られ、エルサレムの名門寄宿学校に入学を許される。そこで様々な言葉や文化、アイデンティティに関する困難に遭遇する……。
*Sayed Kashua “Dancing Arabs”(2002)
*映画後半は、Kashua の “Second Person Singular” (2010)も踏まえられています。
●懇親会 19:00-
■1月9日(日) 10:30‐17:00
3. 特別企画『リトル・パレスティナ』上映会&監督講演会プレ企画 10:30-12:30
2021年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では、ダマスカス郊外ヤルムーク・キャンプの封鎖経験を主題としたアブドゥッラー・ハティーブ監督の『リトル・パレスティナ』が上映され、《アジア千波万波》部門で大賞を受賞しました。同映画上映会と監督講演会を2月6日(日)にオンラインで開催予定です。これに先立ち、本研究会ではプレ企画として、ヤルムーク・キャンプにかつて足繁く通われた岡崎弘樹さんと、『リトル・パレスティナ』の字幕翻訳を担当された佐藤愛さんに同キャンプと映画作品についてお話いただきます。
1) 岡崎弘樹(日本学術振興会、アラブ近現代政治思想)
「ヤルムーク・キャンプの歴史と思い出」
ダマスカス南方に位置するヤルムーク・キャンプは1957年以来パレスチナ難民の居住区として、後には首都郊外のベットタウンとして発展を遂げた。パレスチナ人以外の住民が多数派となりながらも、依然としてシリアのパレスチナ人が集う場として機能し続けた。同キャンプにおける2010年代の包囲以前の暮らしや文化・芸術活動、さまざまな形で現れるリアルな矛盾などについて、かつての現地経験をもとに報告者が語る。
2) 佐藤 愛(英語通訳・翻訳者、英語アラブ文学)
「難民、キャンプ、《ワタン》――『リトル・パレスティナ』が投げかける問い」
自らもヤルムークの住人であるアブドゥッラー・ハティーブ監督は、アサド政権による過酷な封鎖下で必死に生き延びようとする難民たちの姿をカメラに捉えながら、様々な思索をめぐらせる。その中には「ワタン」をめぐる問いといえるものも少なからず含まれている。字幕翻訳者として本作に関わった経験を足掛かりに、『リトル・パレスティナ』で提示されている「ワタン」の問い、およびその他の注目すべきポイントをご紹介したい。
●ランチ休憩(60分)
4. 特集《東南アジアのムスリム文学》 13:30-16:00
1) 野中 葉(慶応義塾大学、インドネシア研究)
「《マジカル・イスラーム》と現代インドネシアのムスリム社会――フェビー・インディラニが描く危機感と希望」
近年インドネシアでは、穏健で寛容とされてきたイスラームの保守化が進み、他の宗教や「正統でない」イスラームを排除するような動きが顕在化している。女性作家フェビー・インディラニは自身の作品を「マジカル・イスラーム」と呼び、ファンタジーとユーモアを交えながら、こうした社会変化を痛切に批判する。本報告では、現代インドネシア社会の現状を踏まえつつ、フェビーの短編小説の世界観と意義を考察する。
2) 藤井 光(東京大学、英語圏現代文学)
「ふれあわない手を、物語の向こうへ:アルフィアン・サアット『マレー素描集』」
シンガポールのマレー人作家であるアルフィアン・サアット(Alfian Sa’at, 1977-)は、マレー語と英語の双方で創作を行う詩人・劇作家・小説家である。本発表では、サアットが2012年に発表した短編集『マレー素描集』(Malay Sketches)から、シンガポールの歴史や政策に翻弄されるマレー人たち、マジョリティである華人との関係、マレー人共同体の過去やマレーシアの描かれ方などを取り上げ、それらが英語で語られることの意味を考察する。 ※アルフィアン・サアット『マレー素描集』(藤井光訳、書肆侃侃房、2021年9月刊行)
●今後の打ち合わせ(研究会メンバーのみ)16:15‐17:00
【共催】
中東現代文学研究会
科研基盤研究(A)「トランスナショナル時代の人間と「祖国」の関係性をめぐる人文学的、領域横断的研究」(代表:岡真理)