刊行物紹介
『ワタン(祖国)とは何か 中東現代文学におけるWatan/Homeland表象』
JSPS科学研究費補助金基盤研究(B)「現代中東の「ワタン(祖国)」的心性をめぐる表象文化の発展的研究(代表:岡真理)」成果報告書
発行日:2019年3月31日
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目次
序 章 《ワタン》というプロブレマティーク[岡 真理](p.9)
第1章 ワタンとエグザイル
- 異郷のペルシア語詩
ナーデル・ナーデルプールの祖国(vatan)と異郷(ghorbat)[中村菜穂](p.21) - 母語からの追放 あるデルスィムの孤児たちの物語[磯部加代子](p.36)
- 植民者の抱く郷愁
エリトリア生まれのイタリア人作家が描く〈故郷〉の姿[栗原俊秀](p.51)
第2章〈祖国〉という暴力
- 監獄としての〈ワタン〉シリアにおける監獄文学の変遷[岡崎弘樹](p.69)
- ディアスポラという「ワタン」
ユダヤ系イラク人作家サミール・ナッカーシュと祖国[天野 優](p.83) - 新生国家エリートの孤独
タンザニアの作家E・ゲジラハビにおける「ワタン」[小野田風子](p.98)
第3章 中東文学における〈ワタン〉の現在 トルコ/エジプト/アルジェリア
- 《脱トルコ化》する物語
21世紀、トルコ・ポストモダニズム小説における「祖国」の解体[宮下 遼](p.119) - 現代エジプト小説における祖国(ワタン)像《断章》[福田義昭](p.133)
- ナショナリズムに抗してネーションを構想する
アルジェリア小説の展開と現状[鵜戸 聡](p.152)
第4章 ワタンと〈性〉ジェンダー/セクシュアリティ
- 女たちのサンクチュアリと祖国
『男のいない女たち』に見る小説と映画の間 [藤元優子](p.161) - ラジオを聴くフランスのマグレブの母たち(とその娘たち)ヤミナ・ベンギギの作品から[石川清子](p.176)
- 「うちへ帰りたい」
スへイル・ハンマードにおける「ワタン」と女のセクシュアリティ[佐藤 愛](p.194)
第5章 ワタンの形成、ワタンの発見
- バクーからタブリーズへ注ぐまなざし
ふたりのソヴィエト・アゼルバイジャン語詩人にみるワタンの再定義[石井啓一郎](p.213) - 委任統治期パレスチナにおけるワタンの発見
「ハリール・サカーキーニー日記」に見る〈旅〉[田浪亜央江](p.230) - 湾岸アラブ諸国における詩文化の興隆と国民アイデンティティ-の形成[竹田敏之](p.245)
第6章 〈移民第2世代〉とワタン
- 想像の「ワタン」
イスラエルにおける中東諸国出身ユダヤ人第2世代作家たちが描く祖国[細田和江](p.263) - Father land / Mother tongue
ドイツ語作家シェルコ・ファタハにおける祖国と言語[鈴木克己](p.275) - ムスリム・マイノリティの児童文学と子どもたちを「可視化する」物語
ファウズィア・G・ウィリアムズの「イードの物語」を中心に[前田君江](p.290)
第7章 ワタンを想像/創造する
- ハイファにとどまる
エミール・ハビービーのワタン(Watan / Homeland)[山本 薫](p.311) - 「再び君を造ろう、祖国よ」
スイーミーン・ベフバハーニーの作品に見られるヴァタン像[鈴木珠里](p.323)
執筆者紹介(p.337)